おうちごはんどうやって乗り越える?
今改めて知りたい、食事の基本(第8回)
2020.05.11更新
お伺いした先生
管理栄養士太田百合子先生
「こどもの城」小児保健クリニックを経て、現在は大学などの非常勤講師、指導者や保護者向け講習会講師、NHK子育て番組出演や育児雑誌などの監修を務める。日本小児保健協会栄養委員会、東京都小児保健協会理事、日本食育学会代議員。
外出が難しい状況が続く中で、「おうちごはん」が増えているご家庭も多いのではないでしょうか。特にお子さんがいるご家庭では、毎食の料理への負担感や栄養バランスに不安を感じるかたもいらっしゃると思います。そんな気持ちを少しでも和らげるために、今、改めて知りたいお子さんの食事の基本的な考え方を、管理栄養士の太田百合子先生にお伺いしました。
Q.おうちごはんが増えています。毎食の食事や栄養バランスの偏りが不安です。A.毎食、しっかりとした食事や栄養バランスを気にしすぎる必要はありません。
特に、栄養バランスは長い目で見て考えましょう。
★普通食のお子さんには…
おうちごはんが増えてくると、「毎食しっかり考えないと」と負担に感じてしまいがちですが、気にしすぎる必要はありません。1日のトータルでのバランスを意識してみましょう。例えば、夕食(晩御飯)を考えるときに、朝、昼で不足に感じたものを取り入れるという意識が持てるといいですね。
宅配や総菜も1日のトータルのバランスを見ながら取り入れることで、食事の負担を軽減させることができます。例えば、お昼にハンバーガーやピザなど油の多いものを取り入れたときは、夕食(晩御飯)に魚料理や野菜を増やすなどで調整をするといいですね。
また、1・2歳のお子さんは、食べたり食べなかったりむらがある時期でもあります。
「食べなかった」と気にしすぎる必要はありません。1日単位ではなく、1週間と長い目で見て、食べるときもあれば、食べないときもあると、ゆったりとした気持ちを持つことが大切です。
★普通食になる前のお子さんには…
◇9カ月ごろまで
5・6カ月ごろから少しずつ離乳食は始まっているものの、まだ栄養の中心は母乳やミルクの時期です。離乳食は食材に慣れていくため少しずつ取り入れつつも、母乳やミルクから栄養は十分取れているので、心配することはありません。
◇9カ月ごろから
このころから、母乳やミルクでは栄養が補えなくなってきます。特に気を付けたいのは「鉄欠乏性貧血」です。鉄分は特に母乳に少ないので、たんぱく質である、赤身の肉や魚、卵、大豆食品を主菜として加えてあげましょう。また、緑黄色野菜も有効です。スープやバターソテーなど食べやすくしてあげるといいですね。
Q.献立の立て方に迷うのですが、何を意識して考えるといいのでしょうか。A.主食→主菜→副菜の順でメニューを決める意識を持ちましょう。
自然と食事のバランスもよくなります。
1日のエネルギー源になるものは、主食であるごはんやパン、麺類です。まずはエネルギー源になるものを決めましょう。その次に、主菜です。肉、魚、卵、大豆食品など取り入れる食材を考えていき、主菜が決まると副菜も自然と決まっていきます。例えば、主菜が揚げ物であれば、副菜はさっぱりしたサラダなど、メニューを決める順番を意識するだけで、自然と食事のバランスもよくなっていきます。何を作ろうかなんとなく思い浮かべる前に、順番を意識して考えてみるといいですね。
Q.おうちにいる時間が増えるとついついおやつに手が伸びてしまうのですが、
いいのでしょうか?A.量と時間は守りましょう。それが守れればどんなおやつを与えても問題ありません。
次の食事に影響が出ない程度で量を調整しましょう。
また、前の食事から2~3時間は空けて、おやつや次の食事は与えてあげましょう。
★3歳ごろまで
3歳ごろまでは、まだ食事のとりかたにむらがある時期なので、おやつには食事を補う役割もあります。バナナなどの果物や市販の小さな蒸しパン、クリームパンなどうまく活用することで栄養を補えるといいですね。
★3歳以降
・おやつはお楽しみ
3歳以降のお子さんにとって、おやつはお楽しみの一つになっていきます。時間と量を気にしていれば、市販のものでも手作りのものでも、何を食べても問題はありません。また、遊びを切り上げるきっかけとしてもおやつは有効です。遊びすぎてつい忘れがちな水分補給や、おうちで過ごす時間の気分転換におやつを活用することもできますね。
・栄養を補う役割
おやつは、栄養を補う役割もあります。例えば、1日の食事のバランスで、カルシウム不足が気になれば、牛乳、ヨーグルトはもちろん、チーズケーキやアイスクリームでも補うことができます。ビタミン不足が気になれば、スーパーで買える焼き芋や、缶詰のフルーツなどでも補うことができます。市販のおやつをうまく活用して、お子さんとの楽しい時間を送れるといいですね。
最後に… 編集者より
ストレスを感じる毎日が続いていますが、おうちのかたにもお子さんにも少しでも多く、楽しいと感じる瞬間をお届けできる情報となっていることを願っています。太田先生から、ボールに水を張って野菜を洗ったり、味見をお願いしたりすることで、お子さんはきっとはりきってお手伝いしてくれますよというお話を伺い、私も幼いときに頼りにされてうれしかったことを思い出しました。先の見えない不安な毎日だと思いますが、振り返ったときにひとつでも、楽しかった記憶がみなさんに残ることを願っています。