親子で楽しみながらできる!
家の中での体力づくり運動(第10回)
2020.05.22更新
お伺いした先生前橋 明先生
(早稲田大学 人間科学学術院 教授・医学博士)
親子で楽しみながらできる!
家の中での体力づくり運動
外あそびやお友だちとの交流を控えなくてはならない状況が続いています。お子さんが家庭内にとどまり続けなくてはならないことで、「充分に全身を動かせず、運動不足や体力低下が生じないか」「人との関わりから育まれる社会性の発達が遅れるのではないか」と、ご心配されていることと思います。
家庭内の少しのスペースで、道具がなくてもできる「体力づくり運動あそび」や「体操」をご紹介します。在宅でお仕事中のおうちのかたも、休憩時間やちょっとした隙間時間で、親子で取り組めますので、ぜひ、お子さんといっしょに身体を動かし、スキンシップを楽しみながら、ストレスの発散をしてみてください。
親子で体力づくりあそび
■バランスごっこ(平衡性、筋力)
向かい合って立ち、片足立ちになります。足以外は、好きなポーズをしてバランスをとります。どちらが長く片足で立っていられるかの競争です。どんなポーズがバランスをとりやすいか、どんなポーズがおもしろいかなど、いろいろ試してみるのも楽しいです。
■おしりたたき(瞬発力、機敏さ)
向かい合って立ち、握手をするように手をつなぎます。空いている手で相手のお尻をたたきにいきます。自分のお尻もたたかれないように、逃げるのもポイントです。1本のタオルやハンカチを用意して、握手のかわりに両端を持ち合って行うと、距離が確保できるので、動きの幅が広がります。
■じゃんけん足踏み(瞬発力、機敏さ)
向かい合って、両手をつないで立ちます。足でじゃんけんをして、勝った方は負けた方の足を踏みにいきます。負けた方は、踏まれないようにすばやく避けます。
■ロボット歩き(平衡性、空間認知能力)
親の足の甲の上に子どもが乗り、親子で手を握っていっしょに動きます。前方や横方向、気をつけながら後方などへの移動も楽しいです。
■手おし車(筋力、持久力、リズム感)
子どもがうつ伏せの状態になり、腕を立てます。親は子どもの両足を持ち上げ、子どもは、腕を立てたまま、両手で歩きます。子どもにとって、腹筋や背筋、腕力を使うダイナミックな運動です。お子さんの体力を見つつ、無理をさせないのがポイントです。慣れてきたら、前方向だけでなく、後方に進むのに挑戦するのもよいですね。
■姿勢変えあそび(瞬発力、柔軟性、リズム感、機敏さ)
「あぐら」「正座」「三角(座り)」の3つの姿勢を、おうちの方のかけ声に合わせて、子どもがすばやく姿勢を変えます。順番を変えたり、スピードを早めたりすることで、より楽しく遊べます。「しゃがむ」「ジャンプ」など、お子さんのできるポーズに変えることで、低年齢のお子さんも取り組めますし、お子さんが自分で好きなポーズを3つ考えて行うのも楽しいです。
■親子で体操 みんなと いっしょ たいそう(リズム感、柔軟性)
準備体操として、全身がほぐれるように、上半身、下半身、体幹、からだ全体へと、パートごとに動かしながら体温を徐々に上げていくように設計した体操です。
順番に名前を言いながら、身体の部位を意識して動かすことで、身体認識力をしっかり身につけていくことができます。
歌に合わせて、大好きなキャラクターといっしょに動けるので、楽しく体操することになり、「楽しい!」「もう一回!」と、心が動き、繰り返し行うことで、家の中でも自然な体力づくりや感動体験を味わうことにつながっていきます。運動、心動、感動です。
前橋先生からのメッセージ
運動不足やストレスの解消だけでなく、成長期の子どもにとっては、機敏さや瞬発力、リズム感、巧緻性、柔軟性、平衡性などの向上もねらえる運動が良いでしょう。
体操や運動あそびを組み合わせて、トータルで5分間ほど行うと、汗ばむほどの運動量になります。加えて、しっかりとご飯を食べ、十分に睡眠をとるようにすると、自律神経の働きが向上します。結果として、生活リズムが整いやすくなります。自律神経がきちんと機能するようになると、やる気が出てきて、いろいろなことに前向きにチャレンジできるようになります。無理のない範囲で、楽しくからだを動かしてみてください。